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さきほど「ホームランド シーズン5」を見終わりました。
衝撃というかなんというか「え!?終わり?」的な展開。
新生ホームランドがシーズン4から始まりましたが
シーズン4ではアメリカが実際に行った
「ドローン攻撃」をテーマにした作品が主な内容でした。
今作は「シリア難民」と「ホームグロウン・テロリズム」
この2つがテーマとなっていました。
ホームランドシーズン5感想
<見終わった感想①:アリソン・カーという人物が怖すぎる>
アリソン・カーはベルリン支局長でありながら
イヴァンという対外情報官と密接な関係にありながらも
ロシア亡命を果たすまでにいきつきます。
この女はプライドと野心が高くとにかく利用できる人材は利用する。
自分の身が危なくなれば身近にいる対人を利用する。
結構な悪人です。最初は愛国心あるCIAベルリン支局長という
仮面をつけていたんだが、段々エピソードが進むにつれて
剥がされ落ちていく様は正直怖かったですね。
最後はロシア亡命をしようと車のトランクに入れられ
ロシアに向かう途中でソールが用意した小規模暗殺部隊に
射殺されてしまう。この女の末路にはぴったりな気がしました。
結局アリソンが教えた情報によってテロが行われようとしたし
ドイツ内でテロを防ごうとしていた女がテロを利用して
ロシア亡命しようと画策するまでに至ったのはなぜか?
本来もつべき愛国心がある人間なら防げたはず。
でもそれをしなかった。
アリソン・カーという人物そのものが
テロリズムを持った人物だという事かもしれない。
<見終わった感想②:カシムの正義感>
カシムという若者がいなかったら
「クイン」「ベルリン駅にいた人々」「キャリー」
この人たちの運命を変えたかもしれない。
カシムはビビの従兄弟でありながらも
弱気な性格。ビビの前でもビクビクしているし
ビビがいなかったらきっと他の仲間から粛清されてたと思う。
ビビはそんなカシムには優しく諭す場面があったが
カシムはビビが行うテロ行為に疑念を持つ。
ビビがクインを拘束し、サリンを使った実験に
参加させようとした際もクインに対して
「アトロピン」を注射。クインの命を救った。
その後もテロ実行の際にベルリン駅にいた人達を
封鎖させる役割があったのにもかかわらず封鎖をやめて
逃げるようにと促したり。キャリーがビビを止めようとした際も
キャリーに変わってビビを説得させようとしたりした。
同じイスラム教徒でも過激派と穏健派に分かれるとされるが
カシムはまぎれもなく穏健派にありながら
健全なイスラム教徒だと思ってしまった。
宗教徒差別は世界中に存在するが
過激派と穏健派を区別するのは容易ではない。
カシムのような若者が多ければいいのだが、
実際は「ホームグロウン・テロリズム」といった人達も存在する。
カシムの正義感は唯一人を安心させる要素の1つだった。
<見終わった感想③:アダルとクインの関係性>
クインがサリンの影響と一時覚醒の為に
アスピリンを大量に摂取したことで
脳に一部後遺症が残ると宣告。
下手をしたら植物状態になるとされ
キャリーはクインを看取る事になるが・・・
その場にアダルも居た。
アダルはキャリーに対してクインとの出会いを語り出す。
クインとの最初の出会いは16歳の時で
野性的な若者を探して諜報員として育成させる為に
探していた所、里子だったクインを見つけスカウト。
18歳で最年少ながら諜報員として活動。
その頃からの関係であったと告白する。
過去作品でもアダルとクインの関係性は
亡くなったエスティースも含め謎めいた所があったが
アダルはクインを親子同然のような付き合いだったと分かる。
2年間シリアに行かせていた事も
もしかしたら後悔していたのかもしれない。
でもあの話を持ち出したのはアダルだったし、
クインもそれを断れなかった。
クインとアダルはきっとソールとキャリー
この2人の存在と同じなんだろう。
<見終わった感想④:強かなドイツ連邦情報局>
今作の舞台は「ドイツ・ベルリン」。
そこで情報流出やらテロ未遂が起こるわけだが
ドイツ連邦情報局に所属するアスリッドの存在。
この女が意外と強かだった。
クインの元恋人でありながら
表向きはドイツ大使館の一人でありながら
裏稼業はドイツ連邦情報局(諜報も?)している。
ドイツ内で起こる情報流出を防ぐ為に
CIAベルリン支局と連携していたが、
後半になるとドイツ連邦情報局が独自で捜査・諜報している。
イヴァンとアリソンの手がかりを掴んだのも
ドイツ連邦情報局。アスリッドはシーズン4の途中から登場するが
シーズン5ではクインをサポートしたり
一民間人のはずのキャリーのバックアップもしている。
しかし、情報流出幇助をしていたニューマン。
情報を持っていたローラ・サットンに対して司法取引をして
情報流出拡散を防ぎ、テロ情報を持っていた男に罪をなすりつけるという
荒業まで見せる。やはりアスリッドは強かだと思った。
<見終わった感想その⑤:何度も出てくる礼拝堂の意図>
カトリック信仰の中で礼拝堂は欠かさないもの。
礼拝堂と聖堂とは別個のものであり大聖堂なるものには
その一室に礼拝堂が設けられるとされる。
今作ではこの礼拝堂が多く登場します。
小規模な礼拝堂から病院内の礼拝堂まで。
なぜ今作はここまで礼拝堂が多く登場するのか。
礼拝堂では主に神に許しを請うものとは違い
神に告白し、祈りを捧げる。懺悔を神父に告白する教会とは
違うと思いますね。(※キャリーは教会にいくべきでは?)
キャリー自身は過去にしてきた行為に対しての罪を告白し
神に祈りを捧げるつもりで訪れていたと思いますが、
キャリー自身が過去の出来事に対して消し去りたいと
願う場面もいくつかあります。
過去→現在→未来といった形で形成されるなかで
過去を過去と思い未来へ進みたいと思うキャリーと
そうはならないと思うジョナスやソール。
この葛藤も今作のテーマかもしれない。
20世紀FOXなので保守派の作品が多い中で
自らの罪を認め告白し改めようとする作品は
ホームランドシリーズ以外あまり見られない。
ホームランドという作品がアメリカ国内で支持される所以かも。
<最後に>
おそらくシーズン6もあるでしょう。
ただキャリーが本人がやってきたことは
CIA諜報員としての活動であり
彼女の運命はこのCIAから逃れられないと思う。
過去との決別すべくキャリーに対して
ジョナスやクインはキャリー突き放したかったが
結局キャリーは頑なに拒み続けた。
そのせいもあってジョナスやクインと別れるはめに。
でもここまでしてもまた魅了させるキャリーの存在って・・・
男からしてもキャリーの双極性障害の状態を
好んで交際し、セックスする人間なんているのか疑問。
ジョナスやクインのような存在がいなかったら
キャリーはおそらく孤独に生きていたと思う。
ブロディーしかりそれは言える。
シーズン5にして過去作とはまた違った
人間ドラマが展開されたホームランドシーズン5。
今回のテーマが今欧州で問題となってる
「難民問題」だけに今後の展開を考えるきっかけにはなりそう。
面白さは脚本と演出とキャスティングが合わさってのものなので
24シリーズの制作総指揮を担当した「ハワード・ゴードン」
脚本家「アレックス・ガンサ」の腕は良いですね。
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